七五三で貰える「千歳飴」。他の機会ではなかなか頂けないので、なんだか嬉しいですよね。
この細長い形は、直径14.5mm以内、長さ1m以内と明確に決められて
いるんです。なぜ「細長い」のか、そして、その由来はどんなものでしょうか?
そこには子を思う親の気持ちが込められています。
<子どもの長寿を願って>
七五三の原型となる儀式自体は平安時代からあったとされていますが、千歳飴の歴史はそれほど古いものではなく、江戸時代に作られ、広まったものです。
当時、子どもは流行り病などで早世することも多く、わが子の健康や長寿を願う気持ちは現在以上に切実でした。
そんな願いから生まれたのが細長い千歳飴。
「粘り強く長く生きてほしい」という親の願いが込められています。
細長い飴を縁起のよい紅白に染め、長い袋に「千年飴(せんねんあめ)」と書いて売り出したところ、子を思う親の心をつかみ、瞬く間に人気が出ました。
その後、袋には鶴亀、松竹梅などのおめでたい図柄も描かれ、健康と長寿を願う縁起物として定着していきました。
<千歳飴は、皆で食べるもの!>
こうして売り出された「千年飴」「千歳飴」は七五三のお参りの定番土産として、江戸庶民に広まっていきました。
当時、砂糖は大変貴重なもので、現在のように甘いものが安易には手に入りませんでした。ですから、甘い飴は子どもだけではなく、大人にも喜ばれるお土産だったわけです。
また、お土産としてだけではなく、七五三のお祝いのお返しとしても使われました。
さらに、地方によっては「お福分け」として、歳の数だけ千歳飴を袋に入れ、親戚やご近所に配る風習もあります。
つまり、千歳飴は七五三を迎えた子どもが食べるだけではなく、子どもの成長を祝い、健康と長寿を祈願して皆で食べるものである訳です。